アトピー性皮膚炎の治療
1.定義
日本皮膚科学会がまとめた定義では「増悪・ 寛解を繰り返す痒みのある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」 とあります。
2.原因
アトピー原因のある人の皮膚のバリア組織が低下して、外部からさまざまの異物(細菌・真菌・ほこり・花粉など)が侵入し、これら異物に対する反応として炎症(皮膚炎=湿疹)がおこり、かいてしまうことで炎症が悪化して、慢性の経過を辿ります。
3.治療
日本皮膚科学会がすすめる標準的治療
ステロイド外用剤 |
炎症を速やかに鎮静させる症状・部位・年齢により5段階の強さのお薬を使い分ける 漫然と使用しない |
タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏) コレクチム軟膏 モイゼルト軟膏 |
中等度以下の炎症を抑える |
保湿剤 | 皮膚のバリア機能を高める |
抗アレルギー剤 | かゆみを抑え、湿疹の悪化を防ぐ |
漢方治療
標準的な治療で治りにくい場合に使用します。
症状と体質に合わせ、赤みやかゆみに清熱剤、化膿傾向があれば解毒剤、分泌物が多いしめった状態に利水剤、免疫異常の体質改善に補中益気湯を処方します。
重症で外用・内服の標準的治療で治りにくい場合、デュピクセント(アトピー性皮膚炎の病態に深くかかわるヘルパーT細胞2型炎症反応を抑えるヒト型抗ヒトインターロイキン―4/13受容体モノクロナール抗体(生物学的製剤)等の治療法があり、適応と考えられる場合は投与可能な病院を紹介します。
4.スキンケア
- 入浴により皮膚を清潔に保つ
汗や、汚れをとり、細菌の増殖を抑えるため。 - 皮膚の保温
- その他
室内を清潔にする
洗剤は十分にすすぐ
手の爪を短く切る